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受給世代のマネープラン<第2回>

<第2回>家計のバランスシートを作成しよう

老後の資金の準備のため、資産運用を考えようとするとき、まずは、 家計の現状を把握することが必要です。そのために、ある時点の資産と負債の状況を見るものとして、 家計における貸借対照表(バランスシート)があります。バランスシートは、家計の決算書の一つとなるもの。 会社が毎年の決算でバランスシートを作成するように、家庭でもバランスシートを年1回は作ってみるといいでしょう。
バランスシートを作成する目的は、わが家の資産と負債がどのくらいあるのかを把握することと、 そのバランスをチェックすることです。 バランスシートで預貯金などの金融資産や土地・建物などの固定資産、 住宅ローンや自動車ローンなどの負債をすべて明らかにすることによってわが家の資産状況の全体像を把握でき、 資産から負債を引いた実質の財産(純資産)が見えてきます。

STEP1 わが家の資産の全体像を把握する

バランスシートを作成する際のポイントは、 資産や負債をその時点の『時価』で評価することです。 そうすることで、家計の現状のより正確な数字をつかむことができます。資産の場合は、 実際に換金できる価値で評価することになります。それでは、各々の資産の時価は、 どのようにとらえればよいか見ていきましょう。

●預貯金
普通預金、定期預金、財形貯蓄などの貯蓄性の金融資産について、バランスシート作成時点の残高を時価とします。
●株・投資信託などの有価証券
株式、債券、投資信託などの投資性の金融資産についても、購入時の金額ではなく、 バランスシート作成時点の時価を新聞やインターネットなどで調べるといいでしょう。
●生命保険
養老保険、終身保険、個人年金保険などの貯蓄性の高い保険については、 現時点の解約返戻金を時価とします。解約返戻金は保険会社から送られてくる契約内容の一覧などで確認できます。 定期保険などの保障性の高い保険は、一般的に掛け捨てになり、解約返戻金はほとんどありませんので、 資産から除くようにします。
●土地・建物・自動車
購入時の金額ではなく、バランスシート作成時点の時価で記入します。 土地と建物の時価は近所の不動産業者の売却物件と比較するとか、 不動産業者に「売却する場合にいくらくらいになるか調べてほしい」と言えば査定してくれるでしょう。 自動車の時価もわかりにくいので、自動車を購入した販売店に確認し、 だいたいの価格を推測して記入すればいいでしょう。

STEP2 バランスシートのチェックポイント

次に、バランスシートを構成する資産、負債、純資産それぞれについて、チェックポイントを見ていきましょう。

*資産の分類について

資産は、金融資産現物資産に分けることができます。 金融資産は、預貯金、債券、株式、投資信託、保険積立金などで、短期間に現金に換えることができ、流動性が高い資産をいいます。さらに、金融資産は、預貯金や債券などの元本確保型資産と株式、投資信託などのリスク性の高い資産に分けることができます。一方、現物資産は、土地、建物、自動車、書画骨董・宝飾品・ピアノなどの売却可能な高額品になりますが、すぐ売却することは困難な固定資産です。流動性の低い資産になります。

資産

(1)現物資産の割合が大き過ぎないか?
いざというときのためには、金融資産の保有が必要です。換金性の高い金融資産と比べて、土地や建物といった換金性の低い資産の割合が、資産全体で見て高過ぎないかチェックするようにしましょう。
(2)株式などのリスク性の高い資産の割合が過大ではないか?
使用する期日が決まっている資産をリスク性の高い金融資産で運用すると元本割れを起こすことがあり、思わぬ資金不足に陥る場合があります。自分が許容できるリスクの範囲に対して、株式などのリスク性の高い資産の割合が過大になっていないか確認するようにしましょう。
(3)必要以上の生命保険に加入していないか?
生命保険は万一のときに必要なお金を得ることができますが、保険料の金額も負担になる場合があります。たとえば、世帯主(夫)の保険料で見ると、子どもが学生の時と就職してからでは、必要とする保険金額に大きな差があるため、見直すことが可能です。一般的に、子どもが就職した後は、世帯主にかける保険金額は少なくてすむため、保険料額も少なくてすみます。加入している生命保険は、家庭の環境変化に応じて見直すようにするといいでしょう。
(4)全体として、安全性、収益性、換金性のバランスが取れているか?
一般的には、若いうちは収益性の高いハイリスク・ハイリターンの株式・投資信託などの比率を高めることができます。たとえ、元本割れをしても長期的には挽回のチャンスがあるからです。しかし、中高年になるほど運用期間が短くなります。一般的には徐々に預貯金や国債などのローリスク・ローリターンの商品の割合を高める必要があります。年齢やライフプランの目的に合った資産配分になっているかチェックしましょう。

負債

(1)住宅ローンの返済額、金利、返済期間などは適切か?
住宅ローンは、20年~30年という長期の返済期間になっています。この間には経済情勢が大きく変化します。変動金利の場合は、金利の上昇により、返済金の多くが金利部分に充当され、借り入れ元本の返済がなかなか進まない状況になることもあります。経済状況に応じて、きめ細かく繰上げ返済や借り換えなどについても検討する必要があるといえるでしょう。
(2)ローンの返済負担が過大ではないか?
資産に対して、負債全体の割合が大きくないかチェックが必要です。少なくとも負債が資産を上回る債務超過(純資産がマイナス)の状態は避けることが重要です。

純資産

(1)純資産の額がマイナスになっていないか?
家計のバランスシートを見る上で、一番のポイントになります。まずはこの部分をチェックするようにしましょう。



以上のような点に注意して、老後資金準備など、資産運用を始める前には、まず家計のバランスシートを作成して、現在の自分の資産内容を総合的にチェックするといいでしょう。