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受給世代のマネープラン<第1回>

<第1回>退職後の生活費を考え、準備する

皆さんは、退職後の生活について、考えたことはありますか?「今までできなかった長期旅行がしてみたい」、「趣味に本格的に取り組みたい」、 「地域のボランティアにも参加したい」など、いろいろと思い描くことがあることでしょう。思いどおりのセカンドライフを送るためには、お金がかかります。ですから、そのための事前の準備が大切になります。
退職後に過ごす時間は、想像以上に長いものです。 現在55歳の人の平均余命(ある年齢の人があと何年生きられるかということ)の統計から考えると、平均寿命は男性が83歳、女性が89歳です(平成30年簡易生命表より)。退職後にどのくらいのお金が必要になるかは、 もちろん一人ひとりの生活設計や寿命によってさまざまですが、今回はモデルとなる夫婦を例に考えてみましょう。

モデルの前提条件

(1)
現在の夫(20歳に入社)の年齢は54歳(昭和40年3月生)、妻(専業主婦)の年齢は52歳(昭和42年4月生)とし、60歳で定年退職する。
(2)
長生きリスクを考え、夫は87歳、妻は92歳まで生きると仮定。
(3)
会社の退職金総額2,500万円のうち、50%(1,250万円)を退職時に一時金でうけとり、残りを年額96万円の終身年金としてうける。
(4)
国からうける年金は、夫の老齢厚生年金120万円(年額)、夫の老齢基礎年金78万円(年額)、 妻の老齢基礎年金78万円(年額)とする。
(5)
夫は定年退職後、65歳になるまで短時間勤務で働き、年間収入は162万円とする。

STEP1 60歳以降の生涯収入を計算する

夫が定年退職してから、夫が87歳、妻が92歳で亡くなるまでの夫婦の生涯収入を、4つのステージに分けて計算してみました 。ここでは、退職時にうけとった一時金は除いて考えます。

ステージ 収入
1ステージ
夫60歳から64歳までの5年間
約1,890万円
<1年あたりの計算式>
老齢厚生年金120万円+終身年金96万円
+短時間勤務の収入162万円=378万円
2ステージ
夫65歳から66歳までの2年間
約666万円
<1年あたりの計算式>
老齢厚生年金120万円+夫の老齢基礎年金78万円
+加給年金額39万円+終身年金96万円=333万円
3ステージ
夫67歳から87歳までの21年間
約7,812万円
<1年あたりの計算式>
老齢厚生年金120万円+夫の老齢基礎年金78万円
+妻の老齢基礎年金78万円+終身年金96万円
=372万円
4ステージ
夫死亡後、妻92歳までの7年間
約1,176万円
<1年あたりの計算式>
遺族厚生年金90万円(夫の老齢厚生年金の4分の3)
+妻の老齢基礎年金78万円=168万円

生涯収入は1億1,544万円となりました。

STEP2 60歳以降の生涯支出を計算する

退職後の生活費は、皆さんのライフプランや現在の生活費にもよりますが、総務省の調査では、 夫婦2人で食費、光熱費などの基本生活費が月額23万5,615円、社会保険料・住民税といった非消費支出が2万9,092円で、月額約27万円となっています(平成30年度家計調査より)。また、生命保険文化センターの調査では、海外旅行などのレジャー、趣味や教養、車の買い替え、子どもや孫への資金援助などを含めた ゆとりのある生活に必要な費用は月額約36万1,000円という結果が出ています。 そこで、夫婦の生涯支出は下表のように計算しました(妻一人の場合は生活費を60%とし、月額21万7,000円で計算しました)。

ステージ 支出
1ステージ
夫60歳から64歳までの5年間
約1億2,129.6万円
<計算式>
36.1万円×12ヵ月×28年間=1億2,129.6万円
2ステージ
夫65歳から66歳までの2年間
3ステージ
夫67歳から87歳までの21年間
4ステージ
夫死亡後、妻92歳までの7年間
約2,343.6万円
<計算式>
21.7万円×12ヵ月×7年間=1,822.8万円

生涯支出は1億3,952万円となりました。

STEP3 生涯収入-生涯支出=不足額を準備する

生涯収入と生涯支出の差額は約2,408万円です。この不足額を定年退職までに準備しておく必要があります。 退職時に会社から一時金1,250万円が支給されますので、2,408万円-1,250万円=1,158万円となり、 約1,200万円を金融資産(貯蓄)で準備しておけばよいことになります。 利息を考慮しないで単純計算すると、55歳から積み立てを開始する場合は年間240万円、 50歳からなら年間120万円、45歳からなら年間80万円、30歳からなら年間40万円です。 ただし、実際には利息が付きますので、もっと少額で目標額をクリアすることができます。

STEP4 ライフイベント表やキャッシュフロー表をつくってみる

さて、ここまではモデルを例に、退職後の生活費や、退職までに積み立てておくべき額について考えてきました。 しかし実際には、年金の受給開始時期や年金額、生活設計などは一人ひとり異なります。 いずれにしても、少しでも早い時期から退職後の生活に向けて準備をスタートすることが大切です。 そこで皆さんには、現在の家計から将来の収支を予測した家計簿を作成してみることをおすすめします。 この家計簿は「キャッシュフロー表」といって、現時点から将来に向けて年間収支を予測し 、貯蓄残高を計算します。将来的な貯蓄残高の推移を確認するのに便利です。 支出を予測する際には、55歳以降に予想される一時的な費用について整理してみましょう。

たとえば、 子どもの結婚の資金援助として・・・300万円×2人分=600万円 7年ごとに車を買い替えるため・・・250万円×3回分=750万円 初孫の祝金として・・・100万円×2人分=200万円 自分たちの葬儀代を用意しておきたい・・・300万円×2人=600万円 定年退職時に夫婦で豪華な海外旅行をしたい・・・200万円×1回=200万円

など、将来の夢や希望を具体的にあげてみましょう。 一方、収入の予測は、現時点の家計の状況を把握してから、現実的な金額を入れていくようにしましょう。 通常、物価上昇や利息の付与などでお金の価値は変化していくものですが、 最初はそうした細かいことは気にしなくても大丈夫です。「貯蓄が底をついて赤字に転落!」 なんてことにならないように、まずは気軽につくってみてはいかがでしょうか。

55歳以降のキャッシュフロー表(サンプル)はこちらからダウンロード